耳をすますな

助けてくれ〜〜〜

人生のバグ

生まれて初めて孤独を感じたのは、幼稚園のお餅つき大会だった。少なくとも記憶にある限りではそれが最初だった。私はなぜかお餅つき大会が得体の知れないもので怖く、母の手を離すのが嫌だった。幼稚園の先生にしがみつきながら参加したが、みんなが普通にできていることが私にはできない!と強く感じたのを覚えている。


理由のある孤独感はまだ良いのだが、たまに理由もなくとても孤独に感じる時がある。なにもできないような、そんな感覚になることがある。もしかしたら誰しもそうなのかもしれない。私はこれを人生におけるバグだと認識している。


孤独はどこからかやってきて、私の脳を支配する。すると単純作業すらうまくできなくなる。一度、ティーバッグの紅茶を淹れるのに失敗して台所で号泣したことがあった。誰しもあることなのかもしれないが、私はいささか頻度が多い気がしてならない。


『違国日記』の中で、孤独感を砂漠に例えるシーンがある。もしそうだとしたら、私はきっと生まれた時から砂漠にいたのだろう。そしてこの先も砂漠で暮らしていくしかないのだ。